‡A Case Of Identity‡

頑張ります!

劔岳 点の記

公開間もないとはいえ、そんなに観に来る人はいないだろうと思っていたのですが、結構な客入りでした。何を期待して観に来てるんだか・・・。
監督の木村大作さんはカメラマンとしての作品は数多いですが、監督としては初の作品になるみたいですね。雪のシーンとかを見ると「八甲田山」を思い出すのですが、原作の新田次郎、カメラマンの木村さんという形が同じなので似た趣を感じるのは当然なのかもしれません。
ストーリーとしては日本地図の空白地帯である劔岳周辺の地図を作成するために三角点を設置すること、そして未踏の山である劔岳に初登頂することを命じられる陸地測量部の面々の話です。中心となるのは測量手の柴崎芳太郎と山の案内人・宇治長次郎です。そして初登頂のライバルとして日本山岳会のメンバー出てきます。
陸軍参謀本部から初登頂せよという命令を受け、なんとしても登らなければならないという状況。そして初登頂を先に成し遂げようとする日本山岳会との競争。日本地図の完成や測量とは関係のないことに巻き込まれている感があり、その理不尽さとどう向き合っていくのかというところもポイントでしょうか。また地元案内人たちとの関係やいざこざ、そして山に登ることの危険もあります。三角点や地図など普段気にもかけないようなことがこうやって作られてきたというドキュメンタリ的な話としても価値があると思います。映画としてストーリーとしては登場人物の関係などかなり浅い感じになっていて、いまいちピンと来ない部分も多い気がしました。
ただ、映像はほんとうに凄いです。吹雪のシーンや雪山を歩くシーン、そして季節ごとの立山連峰の景色と素晴らしいです。映像へのこだわりが尋常ではないです。
ストーリー性がないかのような書き方になってしまったのですが、「地図を作ることの意味」と「何をしたかではなく、何のためにそれをしたか」というところは十分に伝わるものだったと思います。
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