‡A Case Of Identity‡

頑張ります!

ラストゲーム 最後の早慶戦

有楽町で観ました。そこまで客は入っていないだろうと思っていたのですが、休日ということもあって結構な客入りで、ちょっとビックリしました。

昭和18年。戦争が激化する中、練習に励む早稲田大学野球部の若者たち。六大学野球はすでに解散が決定しており、来るべき学徒出陣に備えるように圧力がかけられていた。そんな中、顧問の飛田のもと選手たちは、出陣のその日まで野球を続けると誓っていた。部員の戸田は父親から厳しく詰られながらも、兵隊に志願した兄の言葉を胸に、合宿生活を続けていた。そんなある日、慶應の小泉が飛田のもとに早慶戦を申し込みにやってくる…。

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD12832/index.html

戦時下を題材とする作品とは言え、戦闘シーンなどは一切なく、セリフの中に「戦死」といった言葉が出てくる程度。一貫して早大野球部とそれに関わる人々の間で話が進んでいきます。
地味ですし、戦争の悲惨さを直接的には書いていないのですが、大学に通う学生、野球をする学生は出陣となれば死ぬことを全員が分かっているし、大本営が発表する戦局に疑問を抱いているというのは非常によく描かれています。早慶戦を行うことの意義と早慶戦をどうにかして行いたいと考え、学生の思いを近くで見ている塾長の小泉と顧問の飛田の思いがしっかりと描かれています。
単なる野球の試合1つ。その単なる野球の試合さえも奪われて、出陣となり命さえも落とす。戦闘シーンはなくとも十分な、またはそれ以上の悲惨さが伝わってくる作品でした。
メインキャストに渡辺大柄本佑といずれも二世俳優。柄本明もメインとして出演しているので親子共演ですね。
監督は神山征二郎。同監督作品の「草の乱」を観たことがあるのですが、いずれも大きな時代の潮流に対して、小さな集団からの視点で捉えている作品になっていますね。
地味ながら、地味ゆえに、しっかりと伝わる作品でした。
就活女優として話題の原田佳奈が出ていましたねぇ。この調子でイロイロな作品に出て行けると良いですなぁ。